ずいぶんと以前の話。
自分の周りの出来事を、自分のウェブサイトにアップしていました。
その中に埋もれた内容から、週一定期連載しています。
◇言葉にならない言葉
◆その日も僕はいつものメンバーでお昼ご飯を食べていた。
最近は白熊くんが戻り、にぎやかさも戻ってきたところだった。
不意に、突然そのうちの一人が目をつぶって座り込んでしまった。
それはI女史だった。
僕は眠いのか?と思っていたら、彼女は泣いていた。
僕はあくびのせいにしては大粒の涙だ、と思いながら、「泣いてはるわ」と見たままのことをつい言った。
その後、職場へ戻る道でも「元気?」と彼女に尋ねると、彼女はやっぱり泣いていた。
白熊くんが「何か哀しいことがあったの?」と聞くと、彼女は「いっぱいありすぎてわからん」と言った。
昼休みが終わってしばらくして仕事がおちついたところで、僕は職場の中の彼女のいそうな部屋に行った。
彼女を探して居室や廊下をウロウロしたあげく、たどりついた部屋で彼女の直の先輩に「あれ、彼女どこですか?」と聞いた。
すると、「あぁ、この僕の後ろにいてはるわ」と言った。
作業を続けながら話す先輩にむかって、僕は「その作業面倒なんですよね」などと言いながら、彼女に近づいていった。
椅子に座っている彼女の右横の床にしゃがみ、彼女の方を向いた。
僕はまた「元気?」と聞いたところ、彼女はハンカチを手に泣いていた。
僕が近づいたから泣いたのだろうか、いや、多分ずっと泣き続けていたのだろう。
彼女に僕は何か声をかけようと思ったけれど、なんて言えばいいか全然わからなかった。
4回ぐらい何かを言おうとしては適切でないような気がした。
首だけが左を向いたり右を向いたりしていた。
僕は正直にそのまま「なんて言えばいいかわからへん」と言った。
彼女は泣きながら笑って、僕の頭を冗談ぽくなでた。
忙しい仕事、女性上司との関係性。
体調が悪いこと、それにそういう時期でもある。
また、仕事の忙しいことで彼氏である滝山くんの親ともめている。つまりはやめるやめない、ということでだ。
彼女がハードワークして頑張っても周囲には認められていない、と感じたことによるのだろうか、と僕は思った。
今はそれ以上のことは僕にはわからない。
いつか不意にわかるのかもしれない、何年も後に。
それの繰り返しだ、いつも。

さて、around meは毎週火曜日早朝更新予定です。
次回、episode-21が最終話です。


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