◇新しい空間
◆気が付くと、壁に囲まれた狭い空間にいた。
薄暗くて周りはあまりよく見えなかった。
壁を手でつたってみると壁のうち一面だけ手触りが違った。
硬いゼリーのような感触だった。
多分、この壁から僕は流れ出てきたのだろう。
この壁が流されてきた僕を押し出したのだろう。そう思った。
流れる壁にもう一度入り込むかどうか、僕は悩んだ。
壁に入ればまた流されてどこかにたどり着くのだろう。
流れ着く先は明るい世界かもしれないし、また同じ壁に囲まれた狭い部屋かもしれない。
もしかしたらどこにもたどり着かず、ずっと流され続けていくのかもしれない。
望むならきっと流され続けることができるのだろうと感じた。
流され続けるのも悪くない。
流され続けても、僕は年をとらず、ただひたすら永久に流され続けて行くような気がした。
僕はとりあえず流れていくことに決めた。
壁に潜り込んで流されて行くことを選んだ。
壁に触ってみると、中に潜り込んで流されたときよりも硬いような気がした。
パンチはとりあえずめり込まなかった。 壁の表面が冷たくなっている気がした。
今は夜なのだろうか。 昼になれば、また壁は溶けて流れやすくなるのかもしれない。
そう思って、一眠りすることに決めた。
壁にもたれて、僕は眠った。
周りには誰もいなくて、少し寂しかった。


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