【最新型の/this year’s “around me”】episode-10: 40日ぶりの食事

いつもとは違って、何かと何かの境界にいる自分の、今考えていることを
【this year’s “around me”】として、書きたいときに、あるいは書けたときに、不定期アップしていきます。

◇episode-10:40日ぶり
◆episode-9に書いたが、お盆の再手術の三日後の金曜日に、先生との面談があった。
その際に、一旦退院しての、自宅点滴での経過様子見の可能性と、それに向けたアプローチを告げられていた。

◆その時には先生からは「一週間後かな」と聞いていたが、その次の月曜日には早くも、自宅点滴に向けた、点滴ポートの体内埋め込みの簡単な手術があった。
また、その週には、看護師さんからマミに、そして自分がいるときには自分も含めて、自宅点滴方法のトレーニングがあった。
着々と自宅点滴の準備が進んでいた。

僕にはちょっと気持ちがついていけないな、あるいはついていきたくないな、と思わずにはいられなかった。

◆前回手術後改善したように見えた数値について先生には響かなかったが、自分としては少し期待していた
マミは、期待するのは後からの気持ちが苦しすぎるのかもしれないけれど、より中立的な立場だった。
その数値はその後も順調に推移していて、僕とマミは前よりもちょっと期待を高めてはいた。でも期待しすぎないようにしていた。
マミは、時には「ちょっと吐き気始まってきたわー、やっぱりだめなのかもー」なんて弱気なことを言っていた。
先生の方は、というと「これはいけるのかも」と感じ始めたようで、元々その週の後半に予定していたもう一つの手術は、先送りにすることとなった。

◆お盆の再手術から1週間たったお昼休みに、マミから連絡があった。
朝に先生と面談し、その結果として、この日の昼食から急に病院食が始まった、とのことだった。

この食事は、ずっと点滴生活だった、マミにとって、初めの手術以来40日ぶりの食事だった。
メニューは、豆腐とスープ、ヨーグルトから始まっていた。
僕らはまだそこまで期待していなかったし、うれしい驚きだった。

◆その日に面会に行ったときには、マミとは、ここから重湯・5分粥・全粥などと、1週間くらいかけてちゃんとしたおかゆを食べるところまですすめれば、点滴無しで退院できるのじゃないか、という話をしていた。
そう思っていたら、先生の指示はそれを上回るジャンプアップで、翌日には、全粥に、茹でたささみがおかずに付いた。

◆マミも僕も気分は急激に晴れた。
2人部屋だった病室で、ポジティブな話を声高にするのも同室の患者さんに気が引けて、談話室に行って話をするくらいだった。
談話室で「このままいくと点滴なしの退院になりそうだね。でもやっぱり気を付けないとね」と言い合った。
病室に戻り、また、マミのお腹の小腸さんにお願いをしたり、腸にきくというツボのマッサージをしたりした。

その日は土曜日で、マミからは「週末退院のケースが多いし、1週間後の週末に退院したいな」という話があった。
僕も退院の現実的な日程を考えはじめ、平日を含めて次の週のスケジュールをシェアしておいた。

これによってイメージできていなかった退院を、現実の出来事としてようやく受け止めることができた気がした。
それはある意味、僕の生活の変化を表すことになる。
マミの退院に向けて計画していた、使わない電気製品の廃棄や、積み上がった新聞束の整理について考え始めていた。



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