【流体と黒猫】episode-1: やわらかい壁

ずいぶんと以前の話。自分の考えた出来事を、自分のウェブサイトにアップしていました。
これはそんな中で、自分の中から湧きあがったストーリーです。少しずつ連載してみようと思います

◇やわらかい壁

◆壁にパンチ。 手がめりこんだ。
実は壁はドロドロの液体でほんの少しずつ流れていた。 部屋が薄暗くて気づかずにいた。

手を引き抜くべきなような気がしたけれど、 どこまで液体が続いているのか確かめたくなった。
腕を深く差し込んだ。 腕は簡単にするすると吸い込まれるように液体の壁に入り込んだ。

肩まで差し入れたところで、まだ硬い部分にはたどりつかなかった。 もしかしたらこのまま永久に液体が続いているのかもしれないと想像した。
最後にあと少しだけと握っていた指を伸ばして、 頭が液体に触れない程度に肩全体を壁にめり込ませた。

すると手触りがあった。 硬い壁があった。 触ってみると壁は冷たく、表面に凹凸があった。
岩壁らしかった。 もしかしたら、ただのコンクリートかもしれない。
壁をなぞってみると、溝があった。 溝は何か意味を表している気がした。 文字らしかった。 文字を指でなぞった。 1文字が5cm角程度で、縦方向に文字が並んでいるようだった。
文字を読みとろうと、指先に神経を集中させた。

読みとるのに必死になって、額に汗をかいていた。 室温が少しあがってきた。
液体が溶けだして流れはじめていた。 僕はバランスを崩して液体の中に取り込まれた。

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流体と黒猫

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