【流体と黒猫】episode-13:広い世界

◇【流体と黒猫】episode-13:広い世界

◆黒猫はいなくなってしまった。不意に瞬きをする間に黒猫の姿は消え去ってしまった。
ただ僕は壁にもたれてるのが精一杯だった。
僕には暗すぎて見えなかったけれど、吐く息が白いような気がした。

◆時間はたっていたけれど、僕の横にある特殊な壁の部分には、暖かい波の満ち引きが残されているように思えた。
壁からは暖かみと安らいだ感触が伝わってくるような気がした。
暖かい波はその波の中の一部を使って、僕に何かを伝えようとしているように思えた。
だけれど、壁の向こう側が何を伝えたがっているのかはわからずにいた。

波は雑音を含んでいた。波は突然とぎれたり、突然繋がったりした。
雑音と中断のせいで、僕は十分には波のメッセージを受け取れずにいた。
うまく伝わらなかったけれど、そんな中でも、暖かい壁が放つ光は今すぐにでも消えてしまいそうに見えた。
消えそうな光に僕を急がせる響きが見えた。

◆そんな中、あえて僕は少し立ち止まることにした。
たとえ世界から光が消えたとしても、いつかまた現れるのだと思った。急ぐ必要はないと感じた。
この世界にはこの世界のリズムがあるに違いない。
明るい時間と暗い時間。きっとそうなのだろう。
長い周期かもしれないけれど、いつか一周回って戻って来るのだ、と思った。

◆僕は壁にもたれ、壁の一部にとけ込むことにした。
世界の流れを見極めようとしていた。
世界は広く、見えないところが多いのは事実だった。

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流体と黒猫

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